落合冬至 俳句と書のデュエット 1
土流れ水ひび割れて青い星 co2胸に転移の彼岸花
一人旅窓に灯火と秋時雨 h0016 雪野原静かに振れる脳波計 h0024
柵が柵を囲んでいる冬の原 h0001 過疎の村段段畑に雪が来る h0073
黒い風靡かせて雪の街 h0077 自画像の封じ込まれし二重窓 h0013
春山河土の死体横たわる 人さびて人の流れの中にいて h0004
極点に黒い雪降る雪の上 h0057 にわか雨土の匂いの過疎の村
年輪断層の如し冬日向 h0005 痩身の石ぼとけあり汽車の音 h0008
霧の音後姿の港町 h0025 寒風やプラットホームは能舞台 h0010
鉢一つつかず離れず枯茨 老いて旅プラットホームの回送車 h0003
無の季節防音ガラスの裏表 h0055 人間の渦文様あり衣更
ビルの影踏絵の如し冬の朝 h0011 逆光や刃物の如し裸婦の像 h0002
複写機の如し夏の改札口 h0076 虚と実の点滅なりや信号機 h0012
沈む村七ッ変化の水の音 h0053 朝顔や母の遺骸と二人の児
秋風や議事堂の裏へ廻る 父逝くや絵に描きし死の如く h0018
ビル風や屈折したる歩道橋 騒音と煤煙とカクテルグラス h0070
時乱れ時静かなり生きぼとけ h0015 無風なり敗荷乱筆の如し h0014
水一滴油一滴涙かな 0081 迂回路の標識の中冬野原
色の無き春の空気の亀裂かな h0023 読経の如北国へ特急列車
夕顔や人間の影ビルの影 h0054 親知らず旅のルーツや朴散華 h0056
桐一葉終着駅はネガの街 蝉の声起伏のはざま心電図
これも旅環状線の冬景色 h0006 旅に痩せて出札口の人の中 h0074
秋風や仏は仏人は人 h0017 旅立つや紙屑の舞う朝の街 h0079
分かされに立ちて無言の石仏 光陰の七分咲きなり弥生尽 h0021
こま切れの時の流れや夏野原 h0071 野ざらしや使い捨てなる腕時計
暮れの都市今日も二色の雨が降る h0078 木の芽どき疼痛前線北上す
手のひびも活断層時雨降る街 山国や土塀に刺さる冬の風 h0080
赤潮に釣り人いたり日暮どき 人老いて街も亦老いて野ざらしや
禅問答かパワーショベルと犬ふぐり 冬めきて吐く言葉皆音となり h0039
雑居ビル鉄の計器の針錆て h0019 炎昼や砂に還りしビルの街
母と寝る児白いベットの片隅に 廻り道終りしところの野の仏 h0028
葛折過ぎ行く女と石仏 凍てつくや空気を彫刻する男
風とあり桑の枯葉の石ぼとけ h0029 山笑う俳人格が住んでいる h0030
指先の先の先まで枯野道 夕顔や刻々と未明の世界
巨大な伽藍背後にビルの街 小さなバス停鼓膜をたたく雨の音 h0063
初時雨唯心音の残る街 ふと立ち止まる街はガラスの雨模様
赤トンボ母のない児の家路かな 冬の野やケンタウロスの足の音
漆黒の余韻続くや文机 石段の磨耗続くや薬師堂
街の灯や薄氷を踏む国境 春光未使用のキャンバスの中
一糸舞うビルの挟間の槿かな 終戦日人間模様の表裏
点描也豪雨ふるビルの街 h0022 山枯れて秩父おろしの鐘の音 h0033
日没や焼き切られたる鉄の骨 h0042a テロップの流れる車窓北の街 h0046
格子戸に今はなき娘か冬の風 ワイパーの振れて初冬の道しるべ
秩父路や娘の白無垢の歯に凍みて 壁に能面窓に散る枯落葉
哲学書挿絵の如く虫の死す 陽炎や鉄路の旅の無人駅
秋風を否定するかな馬頭尊 立枯れの棒線グラフビルの街
故郷は冬木立毛細血管の如く 異次元に生きて巷の秋時雨
長い枝短い枝の虎落笛 秩父路と鉄路と峡と触れ合うて